「ラン活は年中から始まってるよ!」そんな声を聞いて驚いたのは、長男が年長に進級したばかりの春。最近では人気モデルや工房系のランドセルが年中の秋には予約スタート、春には完売なんて話も珍しくありません。わが家が本格的に動き出したのは、同年のお母さんに「もう決めた?」と聞かれたのがきっかけ。のんびり構えていたのに、一気に焦りスイッチが入りました。
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ランドセル市場の価格高騰の背景
ランドセルの価格、びっくりするほど高くなってますよね。平均でも6~8万円、工房系や限定モデルでは10万円近いものも。背景には素材や人件費の上昇に加え、「高品質・特別感」を求める親心や、祖父母からのプレゼント需要の増加があるようです。
実際、ランドセル工業会の調査(2024年)によると、購入費用を祖父母が負担した家庭は54.5%と、両親の42.5%を上回る結果に [1]。祖父母の「せっかくだから良い物を贈りたい」という気持ちが、高価格帯モデルの需要を後押ししているんですね。
ランリュックってどうなの?
ランリュックとは、小学生向けに作られたリュックタイプの通学カバン。
2021年頃にNuLANDのような新しいコンセプトのブランドが登場したのを皮切りに、2022年頃からはモンベルの「わんパック」やファミリアの「air ran.」などの異業種参入が加速しました。さらに、ふわりぃの「レジェランド」やフィットちゃんの「ゼロリュック」といった大手ランドセルブランドも2025年度モデルとして相次いで軽量なリュックタイプを発表したことで、ランリュックへの注目が急速に高まっています。
近年発表されたランリュックは、カジュアルながらもランドセルとほとんど変わらないデザインが中心[2]。子どもの「まわりと違うもの持つのが不安」という気持ちも配慮されていますし、ランドセルならではの荷物の出し入れのしやすさはしっかりキープされている印象です。
お値段もランドセルのメイン価格帯に比べて安価なものが多い様子。それに加えて、我が家の長男は四六時中走り回っているようなタイプなので、ランリュックの方が合っているのでは?というところから、ラン活スタートはランリュックをメインにリサーチをはじめました。
ランリュックのメリットとデメリットの双方をまとめると、以下のとおり。
ランリュックのメリット
- 価格が2万円~4万円台
入学準備にはランドセルの他にも文房具や体操着の購入などお金がかかるため、可能な限り節約したいものです。 - ナイロンなど軽量素材がメインで体への負担が少ない
軽いものでは700g台なんてものも。一年生の荷物は大体2キロ相当になると言われているため、とくに小柄なお子さんには配慮が必要なポイントです。 - 肩ベルトが無段階調整でフィット感を高められる
ランドセルのようにベルト穴でのサイズ調節ではなく、無段階に調節できる点も魅力。子どもの成長や、季節によってかわるアウターの厚みに合わせて細かく変更できますね。
ランリュックのデメリット
- 耐久性の面で6年間の使用に不安を感じる人も
実際に、買い替え前提でランリュックを選んだという知人もおり、耐用年数はやはりあまり期待するべきではない。大手メーカーでもランリュック製品には修理保証をつけていないケースもありました。 - 周囲と違うものを持つことに抵抗がある子もいる
地域性にも寄りますが、周辺の小学生を見渡してもランリュックを背負っている子は見かけないのが正直なところです。
わが家の選択:ランリュックを断念
長男は年少に上がるタイミングで購入したモンベルのナイロン製リュックを、保育園で毎日の持ち物入れとして使用しています。通っている保育園は課外活動が多く、使用頻度も高いこともありますが、2年ほど経った頃から、ジッパーの不具合やほつれ、底面の擦れなど、劣化が目立ち始めました。
アウトドアブランドの製品ということで、ある程度の耐久性は期待していましたが、子どもの手による日常的なヘビーユース環境においては限界があると実感。これが、ランリュックの6年間使用に対する不安に直結し、最終的には購入を見送る判断材料になりました。
SNSを中心に広報されている、おしゃれで機能的なランリュックも魅力的で最後まで捨てきれませんでしたが、地方在住のため実物を見られる機会がなく、比較検討がしづらいのが現実です。レンタルサービスを展開しているブランドもありますが、4〜5月にはすでに貸し出し中のものも多く、タイミングを逃すと試すことさえ難しい状況です。
そうした点も含め、今回は「耐久性が明確なもの」を優先した結果、ランドセルという選択になりました。
わが家の選択:3年前の最上位モデルを型落ちで半額購入
わが家が最終的に選んだのは、大手ランドセルメーカーの3年前の最上位モデル。 ネットでアウトレット価格で数量限定販売していたのを見つけ、価格は新品の半額以下、およそ3万円程度でした。しかも6年間の保証付き。
偶然にも、同一メーカーの最新モデルを試着できる展示会が近隣で開催されていたため、親子で参加。販売員さんに近年のアップデート内容をたずねたところ、 「素材の改良や軽量化の研究は日々行われているが、デザインの流行による細部のマイナーチェンジが中心」とのこと。 つまり、3年程度の型落ちであれば耐久性や使い勝手の点ではほとんど差がない、という印象を受けました。
アウトレットや型落ちランドセルは、ラン活のピークが過ぎた秋冬から年明け頃にかけて、商品数が増える傾向があります。これらは主に、メーカーの公式サイトや楽天市場、Amazonなどの大手ECサイトで取り扱われており、型落ちとはいえ機能面では現行品と大差ないものも多くあります。6年間保証がつく製品もあり、品質や安心感を保ちながら価格を抑えたい家庭にとって、賢い選択肢になります。数量限定のため、見つけたら早めの検討がおすすめです。
ランドセル誰が買う?問題
私自身の小学校入学時には、母方の祖父母がランドセルを、父方の親戚が文具などの学用品を買ってくれたのをよく覚えています。
令和の世でも、半数以上の家庭で祖父母がランドセルを買ってくれるというデータ[1]がありますが、「じじばばが買うもんみたいだよ?」とこちらから話を持ちかけるのはなかなか気が引けるものです。勝手に期待するのも甘えかなと思いながらも、もし「買ってあげたい」と思っているなら、できれば早めに教えてほしいなという気持ちも正直あります。
おじいちゃんおばあちゃんも、わが子の入学時の何十年前の記憶のまま、「入学までにあればいいでしょ?」と考えている場合もあり、とても難しいところだと思います。
結果的には私たち親がランドセルを用意しましたが、祖父母から今後何かお祝いしていただけるようであれば、文具など別の準備品をお願いしようと考えています。
おわりに
ランドセルは決して安くはないお買い物なので、各家庭の価値観が大きく反映されますよね。わが家の場合、息子自身はほとんどこだわりがなく、最終的に親の判断でランドセルを選びましたが、子どもに合ったものを無理なく選ぶことが何より大事だと思います。
わが家としては、価格の高い/安いも、誰が買うかも、子ども本人には関係のないことだと感じ、この選択となりました。
せっかくなので、何か願いをこめるとすれば、子どもに6年間ひとつのものを大切に使い続ける経験をしてほしいということです。大量消費の社会では、6年も同じものを使い続ける機会はなかなかありません。家電製品くらいではないでしょうか。
わが家の経験がこれからラン活を始める方の参考になれば幸いです。