農作業のアルバイト中に聞くAMラジオの「テレフォン人生相談」。普段は聴くことのなかった番組で、リアルタイムの悩み相談に触れる機会がありました。
特に30代自営業夫婦の相談は、同世代の直面する出産・育児や家族関係の問題が生々しく響きました。
今回はその相談内容と番組のアドバイス、そしてわたし自身の体験から感じたことをまとめました。
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ラジオ「テレフォン人生相談」
農作業のアルバイトで初めて午前のAMラジオ「テレフォン人生相談」(ニッポン放送)を聴く機会がありました。かなり辛口のビシバシしたアドバイスが特徴です。70代の方々はとても楽しみにしていて、同年代の相談には共感しつつ、若い相談者には「甘えてる」と一蹴する場面もあり、世代差を感じることもしばしば。
30代自営業夫婦の相談
ある日の相談者は30代中盤の自営業夫婦の旦那さんでした。

昨年第一子が生まれました。産後数ヶ月で妻も仕事復帰。はじめての育児と家事、そして仕事にも追われ夫婦共にヘトヘト。生後半年頃に迎えた繁忙期には、遠方から母(夫の母)を二週間ほど招いて料理や掃除、子どもの世話などをしながら滞在してもらいました。
繁忙期も一旦落ち着いた頃、妻の様子が変わりました。「あのときはお義母さんにキッチンを勝手に使われて嫌だった」などと、つぎつぎと不満を蒸し返すように。次第に母に直接攻撃的なLINEを送りつけるまでに至り…
自営業は育休や産休制度がなく、働かなければ収入が途絶える厳しい環境です。私もフリーランスとして同じ状況にあり、その厳しさに強く共感します!
相談員からのアドバイスは、旦那さんに対して「夫は奥さんと義母の間で仲介役を務め、両者に良い顔をしつつも、最終的には奥さんを守る立場を取るべき」とのこと…… 旦那さんとしてはもう充分自分の役目は果たしていて、お手上げ状態というような反応…
産後の攻撃的感情「ガルガル期」
産後、ホルモンバランスの不安定さから、周囲へ攻撃的になってしまう「ガルガル期」という状態に陥る人がいます。赤ちゃんと居場所を守る本能的な反応であると医学的な裏付けもされるようになりました[1]。
わたし自身も、一人目の産後は実母や義母の言動や、産後の自宅訪問へ来てくれた保健師さんのちょっとした態度にも敏感に反応し、イライラしてしまった経験があります。
家というのは、まさに女性にとっての「なわばり」のようなもの。初めての育児と家事、そして仕事に追われて疲弊した状態の中で、自分の生活空間に他人が立ち入ることは、それだけで大きなストレスになったことが想像できます。しかも、掃除も片付けも満足にできないような状況なら、なおさらです。
奥さんにとっては、ちょっぴり気を使う存在である義母さんを自宅に招くこと。その判断が、夫婦のあいだでしっかり話し合われていたかどうかは、とても大事なポイントです。
良かれと思って実母を呼んだ旦那さん。息子のためならと応じたお母さん。だけど、その前に奥さんがどうしてほしいのかを聞く機会はあったのでしょうか。
育児も仕事もギリギリでまわしていた状態で、一番近くにいるはずの夫に気持ちが伝わらなかった。そんな寂しさや孤独が、奥さんの中にわだかまりとして残ってしまったのかもしれません。
わたし、ガルガル期かも…と思ったら
わたし自身、ガルガル期のまっただ中にいるときは、自分がそうであることを自覚できませんでした。ただただ目の前のことにいっぱいいっぱいで、気づいたら涙が出たり、周囲の善意にもイライラして心無いことを口にしてしまったり。あとになってようやく、「あれがガルガル期だったのか」と気づいたような気がします。
ふりかえってみて、「あのとき、こうしていたら少しはラクだったかもしれないな」と感じることがあります。
完璧主義を捨てる

「いいお母さんでありたい」「母乳のためにも栄養バランスの良いごはんを食べなきゃ」「部屋はいつもきれいに」…そんな完璧主義に縛られて、自分へのハードルを上げに上げすぎていました。しかし、一人目の育児は何もかも思い通りにいかない。
二人目の出産後は、とにかく今日を生きることを最優先にすることにしました。「今日はカップ麺!」「洗濯は明日!」「死ぬわけじゃないし、掃除は週一でもでいいや」と、いろんなことに力を抜いて構えるようにしました。また、完璧でない自分を認めることで、他人にへも優しくできるようになり、助けてもらえることへの感謝の気持ちも湧いてきました。
家族以外を頼る選択肢に

意外と盲点ですが、出産・育児を身内がサポートする日本の文化は世界的に見てもかなり珍しいもの。「安心」「休める」というイメージがある一方で、近い関係であるからこそ、甘えや期待が生まれてしまって、ちょっとしたことでイライラしたり、「手伝ってもらってるんだから我慢しなきゃ」と自分の気持ちを押し殺してしまい、逆に精神的に疲れてしまうケースもあります。[2]
それに対して、第三者によるサポートは、気持ちの距離があるぶん、割り切ってお願いしやすいというメリットも。
例えば──
- 一時保育
保育園や認可外保育施設での短時間預かり - ファミリー・サポート・センター(ファミサポ)
自治体・地域の有償ボランティア - 民間のベビーシッター
自治体によって助成があることも - 保育付きのリフレッシュ施設
ジムや美容院、病院などに併設されていることも
「誰に頼るか」に、正解はありません。大切なのは、“自分にとって無理がないかどうか”。自分がラクになれる選択肢を選んでいいし、それぞれにとってのベストがあると思います。

産後のガルガル期は◯ヶ月くらいで落ち着いてくるといわれることもありますが、個人差が大きいもの。心が不安定な状態が続く場合は、メンタルクリニックや産婦人科でのカウンセリングもおすすめです。抵抗を感じる方も多いかもしれませんが、産後は心も体もとてもデリケートな時期。専門家に相談することは決して特別なことではありません。深刻化する前に適切にケアすることで負担を軽くできます。
パートナーに助けてほしいこと
一番近くにいるパートナーには、誰よりも“味方”でいてほしいものです。

心を受け止めてほしい
ガルガル期は、出産後の心と体が不安定な時期です。お母さんは、授乳や寝不足、ホルモンの変化など肉体的に大きなダメージを受けている中、次々と起きる「はじめての育児」に向き合っています。体が休まらないと、心も蝕まれていきます。
まずは、ただ話を聞いて、「大変だったね」と同じ目線で受け止めてほしい。家事や育児の分担ももちろん大切ですが、気持ちのはけ口としてそばにいてくれることが支えになります。
調べたり手続きしたり、事務をしてほしい
そのうえで、ぜひ具体的な行動もお願いしたいです。
心が疲れきっているときは気力も判断力も低下して、「なにをどうしたらいいのかわからない」という状態に陥っていました。また、気持ちを整理できないので自分がどうしてもらいたいかという要望もうまく相手に伝えることができませんでした。
わたしも実際、調べ物をしようとスマホを開いたのに、なにを検索すればいいかすら思い出せなかったことが何度もありました。
気づけば、月齢と悩みごとを検索窓に入れて、「〇ヶ月 寝ない」「〇ヶ月 泣き止まない」…そんなことばかりして時間が過ぎていく日もありました。
先述したような第三者によるサポートは、申込みや手続きといったステップが必要。そういった“頭を使う作業”こそ、パートナーに助けてもらえたらとても助かります。